[ 精米 ]
まず、玄米を削って白米に。米の外側の糠となる部分は、酒造りでは雑味のもと。一般的に「いい酒ほど削る」と言い、福小町の純米酒や本醸造酒では70%、純米吟醸では55%、大吟醸では40%まで削り落します。ほとんど芯だけの状態です。
つまり、米を削ることは、おいしさを磨きあげることなのです。
[ 洗米 ]
精米した米についている糠を洗い落とします。手造り・寒造りにこだわる木村酒造では、これも冬場の手作業です。冷たくても、機械任せにはできません。品質や硬さ、精米歩合などによって正確に時間を決め、手触りで吸水の具合などを確かめながら、丁寧に洗いあげなければならないのです。
[ 蒸米 ]
手洗いされたお米は、翌日に、釜の上の「甑(こしき)」と呼ばれる大きな蒸し器で蒸されます。芯まで十分に柔らかく、かつ表面のサバケ(サラッとした感触)の良い外硬内軟の蒸米ができあがります。蒸しあげられたお米は、厳冬の冷気で冷やされ、適度な固さに仕上げれらた後、次の工程へと運ばれていきます。
[ 麹 ]
「1麹、2酛、3造り」と言われるほど、麹造りは酒造りの大切な工程です。麹とは蒸し米に種麹という麹菌の胞子を植えつけ、繁殖させたものです。麹ができあがるまでの約2日間は真冬でも室温35℃~43℃程度に保ち、温度経過、水分量、ハゼ込み(菌糸が蒸米に食い込んでいる状態)具合などに細心の注意を払いながら、寝ずの番で麹を造ります。
[ 酒母 ]
酒母=酛とは、文字通り「酒のもと」、醪(もろみ)を発酵させるための大量の酵母を培養する工程です。雑菌の入りこみやすい状況の中で、純粋に清酒酵母のみを培養することは至難の技です。酵母には100以上のグループがあり、味や香りの点で清酒醸造に適したものが清酒酵母です。また、それらにもさまざまな性質のものがあり、各製品の香味に個性をもたらします。
[ 発酵 ]
仕込みタンクに、蒸米、麹、酒母、仕込み水を入れ、櫂入れを行います。一度に仕込みをせず、初添、踊(仕込みはせず酵母の増殖を促す)、仲添、留添という「三段仕込み」の方法がとられます。その後、低温でゆっくりと発酵させます。こうした発酵法(低温長期発酵)で醸されたお酒は、なめらかで旨みのあるキメ細やかな味わいになります。東北地方の寒冷な気候を利用した独特の醸造法です。
[ 上槽 ]
発酵を終えた醪は搾り機にかけられ、生原酒と酒粕に分けられます。生原酒は「糀バナ(こうじばな)」という独特のフレッシュな生香が特徴です。また搾られて出てくるお酒は、出てきた順番により、「荒走り」「中汲み」「責め」などの呼び名があり、搾ったばかりのお酒はピチピチとしたガス感があります。
[ ろ過、ビン詰、火入れ ]
搾ったばかりのお酒には、まだオリや酵母菌が懸濁しています。これらを沈殿させ、上澄み部分をろ過し、アルコール分などを調整後、ビン詰めを行います。一部の商品を除き約65度で加熱されますが、これを火入れといい、微生物の殺菌、酵素の失活、酒質の安定のために行われます。
[ 熟成 ]
火入れされたお酒は香味が整うまで一定期間冷暗所で熟成されます。しぼりたてのお酒は香りは高く、味は荒々しいのですが、3か月から1年間熟成されることで香りが穏やかになり、味はまるく、落ち着いた香味になります。
最近は食文化の多様化に伴い、熟成期間もまちまちですが、伝統的には冬にお酒お造り、春、夏、熟成させ、秋に出荷します。